結納の準備のすべて!スタイル、場所、結納品、服装、段取り、流れ

1. 結納とは?

結婚を決めた二人が最初に行う正式な儀式「結納」。

仲人を立てたり、形式に則った金品を贈り合い両家の結び付きをお祝いする、古来より続く儀式です。

近年では簡略化されたり、儀式自体を省略することも多い結納ですが、ここではそのスタイルや段取りなどをまとめてご紹介します。

2. 結納のスタイルとは?

結納には2つのスタイルがあります。

「正式結納」と「略式結納」です。

(1) 正式結納

両家の間を取り持つ仲人を立て、「結納品」と「受書(うけしょ)」のやり取りを行います。

両家同士は直接顔を合わせることはありません。

結納品は帯や着物と縁起物の組み合わせが伝統的ですが、帯や着物の替わりに結納金を贈ることもあります。

(2) 略式結納

略式結納では、仲人を立てるケースと立てないケースがあります。

仲人ありの場合

両家と仲人が、女性側の家や料亭などに会し結納を行います。

当日の進行は仲人が務め、内容は正式結納と同じです。

仲人なしの場合

仲人は立てず、男性側の父親が当日の進行を務めます。

場所や内容は仲人ありの略式結納を同じです。

会場をレンタルしたり、パッケージプランを利用する場合もあります。

3. 結納を行う場所

結婚を祝う儀式だからこそ、場所選びは大切です。

結納を行うのに適した場所、避けたほうが良い場所について解説します。

正式結納に適した場所

正式結納を行うときは、両家を仲人が行き来します。

結納にも地域色があり細かな部分は異なりますが、共通するのは女性側の家には必ず結納品が贈られるということ。

そのため、結納では女性側の家が特に重要となります。

家が狭い、結納品を置くスペースがないといった場合では、会場をレンタルしても良いでしょう。

略式結納に適した場所

女性側の家で行うケースと、レストランや料亭で行うケースがあります。

自宅以外で結納を行うときは、店選びが重要です

レストランやホテルは結納の会場として使われることが多く、スタッフが慣れていたり専用プランが用意されていたりします。

結納専用の式場もあります。

結納に適さない場所

結納の式場として避けたほうが良い場所をまとめました。

  • 居酒屋
  • ファミリーレストラン
  • カジュアルレストラン
  • 両家から遠すぎる場所

飲食店で結納をしたいときは、慎重にお店を選びましょう。

他のお客さんが多く、ざわざわとして落ち着かないお店では結納がスムーズに行えません。

できれば料亭など格の高いお店や、個室があるようなお店を選ぶようにしましょう。

また、両家やどちらか一方の家から遠すぎる場所も不向きです。

わざわざ親族に出向いてもらうことになるので、遠すぎず交通アクセスの良い場所がベストです。

4. 結納品は何を贈る?

結納品とは、婚約の証として取り交わされる品のこと。

通常は男性側が用意します。

伝統的な結納品

伝統に則った結納の品は、帯や着物と縁起物です。

その内容は地域や形式によって異なりますが、正式結納では9品目、略式では7品目や5品目の奇数となっています。

正式な結納品目

目録

結納の品と数を記したものです。

長熨斗(ながのし)

あわびを干して長く伸ばしたものです。

長寿を象徴する縁起物です。

金包(きんぽう)

結納金のことです。

昔は帯や着物地を贈っていましたが、現代では結納金で代替するケースが主流です。

末広/寿恵廣(すえひろ)

白無地の扇です。

純真無垢を意味し、末広がりの形から子孫繁栄を象徴します。

寿留女(するめ)

長期保存ができ、噛むほどに味の出ることから、「幾久しく連れ添う、味のある夫婦になるように」との願いが込められます。

子生婦(こんぶ)

昆布の繁殖力にあやかり、子宝に恵まれるようにとの願いが込められています。

「よろこんぶ」にちなんだ縁起物でもあります。

勝男武士(かつおぶし)

かつお節のことです。

古来、武家では保存食や非常食として備蓄されてきたことから、武運長久を願う縁起物です。

武家にちなみ、男らしさや力強さも象徴します。

友白髪/友志良賀(ともしらが)

白い麻糸を束ねたものです。

白髪に見立て、「共に白髪になるまで」という意味で長寿を願い、強い絆で結ばれるという意味から夫婦円満を願う縁起物です。

家内喜多留(やなぎだる)

昔は柳の木でできた酒樽を贈っていましたが、現代では「酒料」として現金を包むのが一般的です。

「家内に多くの福が訪れるように」という願いと、お酒を酌み交わしこれからの親戚付き合いを深める意味合いもあります。

結美和(ゆびわ)

婚約指輪を指します。

結納品に含める場合と、含めずに結婚記念品とする場合があります。

5. 結納品の関東式、関西式とは?

結納品は、大きく分けると関東式と関西式の2つがあります。

関東式の特徴

武家の名残がある関東式は、比較的質素で、男女共に結納品を交換するのが特徴です。

このため、結納を「交わす」という言い方をします。

結納品は9品目が正式で、全ての品をまとめて白木の台に乗せます。

目録は結納品に含まれ、指輪は含めません。

関西式の特徴

公家の名残がある関西式は、飾りが豪華で品目が多めなのが特徴です。

結納品は9品目が正式ですが、11~21品目になる地域もあります。

結納品は1つずつ献上台に乗せ、夫婦円満を祈願する高砂人形が加わります。

目録は結納品に含まれず、指輪は結婚記念品として目録に含まれます。

6. 結納のときの服装

結納は正式な場となるので、服装も格を合わせる必要があります。

また、両家の格を揃えることも大切です。

結納のスタイルや会場を考慮し、両家で相談して服装の格を統一するようにしましょう。

正式結納の服装

正式結納の場では、正礼装(フォーマル)か準礼装(セミフォーマル)となります。

婚約する男女は、男性が略礼装(ブラックスーツ)、女性は振袖や訪問着のほか、セミアフタヌーンドレスや品のあるワンピースが良いでしょう。

両親は、和装であれば紋付袴や色無地、洋装であればモーニング略礼装、フォーマルなワンピースやスーツなどです。

略式結納の服装

略式結納の場では、略礼装や平服でも大丈夫です。

どの程度カジュアルダウンするか、どのような会場かなどにより、あらかじめ両家で服装の格を合わせておくことが重要です。

結納時の服装で気をつけたいこと

結納の場では、ミニスカートやノースリーブといった露出の高い服装はNGです。

また、派手な色合いや奇抜な格好も避けましょう。

簡略化した結納の場であっても、デニムやTシャツなどのカジュアルすぎる服装はしないようにしましょう。

また、色やデザインがかぶると気まずいという声もあるので、事前に誰がどのような色を着るか確認しておくと安心です。

7. 結納に向けた段取り

結婚が決まり、結納を行うことが決まったら、当日に向けて段取りをしていきます。

結納がスムーズに執り行われ、両家にとって素晴らしい1日となるためには、入念な準備が欠かせません。

ここでは、後から後悔しないための結納に向けた段取りの仕方をご紹介します。

(1) 結納の仕方を決める

結納をするかどうか、するのであれば正式か略式かなどを決めます。

当事者2人だけで決めてしまわず、両親にも相談しながら決めることをおすすめします。

両親が結納をした方が良い、と言う場合は、略式でも良いので行っておくと、後々トラブルにならずに済みそうです。

(2) 結納のスタイルを決める

結納をすると決めたら、その内容を決めていきます。

正式結納の場合は、仲人を誰にするか、いつどこでやるかを決めていく必要があります。

略式の場合も、会場や日時の検討を行いましょう。

このとき、両親や仲人のスケジュールを考慮することを忘れないようにしましょう。

(3) 結納会場と日時を決定

両家から遠すぎず出向きやすい会場を選びます。

結納の後に両家顔合わせや食事会をする場合は、そちらの決定も済ませましょう。

結納の日は「大安」や「先勝」の日が定番ですが、仏滅でも気にしない人が増えています。

(4) 結納品を購入

品数や内容など、両家で相談して決めます。

婚約指輪を購入する場合は、手元に届くまで時間がかかるので早めに購入するようにしましょう。

費用をどちらの家が持つかなども、よく相談しましょう。

(5) 手土産やお持たせの手配

当日に渡す手土産やお持たせの手配もしておきましょう。

縁起が悪いので風呂敷に包まない、切って食べるものは避けるなど、マナーにも注意しましょう。

(6) 当日の流れを共有しておく

結納当日の流れを、両家で共有しておきましょう。

到着は何時ごろか、どんな服装か、当日は誰が何をするかなど、決められるものはあらかじめ決めておくと安心です。

特に、仲人を立てない場合、進行役や当日の流れをリスト化しておくと良いでしょう。

食事会へ移行する場合は、移動手段や行き先などをしっかり確認しておく必要があります。

8. 結納当日の流れ

入念に準備をして、いよいよ待ちに待った結納の日です。

緊張するかもしれませんが、両家で和やかに過ごすひとときにしたいものですね。

ここでは、一般的な略式結納を例に取り、結納当日の流れをご紹介します。

(1) 女性側の家に到着

男性側が女性側宅へ到着し、挨拶を交わします。

女性側は玄関へ出迎えに行き、結納の場となる部屋へと案内します。

和室なら床の間、洋室ならテーブルの上に結納の品を飾ります。

(2) 飾り付け

部屋に通され手土産を渡したら、男性側は結納品を飾り付けます。

和室なら床の間に、洋室なら上座を意識して行います。

このとき、女性側は部屋に入らず、外に待機します。

(3) 挨拶し着席

飾り付けが終わり結納を始める準備が整ったら、まず男性側が入室し、次に女性側が部屋に入り席に着きます。

まず本人2人が挨拶し、続いて両家両親が挨拶して一同着席します。

(4) 司会進行役の挨拶

男性側の父親が司会進行を務めるのが一般的です。

男性側の父親より、挨拶があります。

(5) 男性側が結納品を納める

男性側の母親が、飾り台から結納品を女性本人の前へ運びます。

軽く礼をして席に戻り、男性側の父親が口上を述べ、終わったら深く礼をします。

女性側は軽く礼を返します。

(6) 女性側が目録をあらため、受書を渡す

女性側が目録をあらため元の場所に戻したら、女性本人が口上を述べ、一同深く礼をします。

その後、女性側から受書と結納返しを手渡します。

女性側の母親が受書を結納返しの品をそれぞれ飾り台から男性本人の前に運び、女性側の父親が口上を述べます。

(7) 男性側が目録をあらため、受書を渡す

女性側のときと同じく、目録をあらため受書を手渡します。

(8) 結びの挨拶

男性側の父親が挨拶し、その後女性側の父親が返礼の口上を延べ、一同深く礼をして結納式が終了となります。