結納とは?結婚挨拶や両家顔合わせとは違う?目的や内容を解説

1. 結納とは?

結婚を決めた二人が、最初に行う両家をあげてのイベントだといえるのが「結納」です。

言葉としては耳にする機会も多いかもしれませんが、その内容についてはよくわからないという人が多数派ではないでしょうか。

「結納」というのは、両家を親類として「結び」、そのお祝いと約束のしるしとして品物を贈り合い「納める」、古来よりの儀式のことをいいます。

結納では、結婚する約束を公に取り交わしたことになります。

結婚する本人同士だけでなく両親や親族など複数人の立会いの下、執り行われる儀式となりますので、より確実な結婚の約束を交わすことになるのです。

「正式結納」と「略式結納」の違いとは?

結納には「正式結納」と「略式結納」の2種類があります。

結納を行う場合は、どのようなスタイルどのような内容で行うかによって、正式と略式のどちらにするかを決めましょう。

正式結納とは

正式結納とは、仲人を立てて行う結納の義です。

伝統的で最も格式高い結納の形で、仲人が男性側を訪ねて結納品を預かり、女性側へ送り届けます。

その後、女性側の結納品と受書を預かった仲人が再び男性側を訪れ引き渡します。

略式結納とは

略式結納には、仲人を立てる場合と立てない場合があります。

仲人を立てる場合では、ホテルや料亭などに両家と仲人で顔合わせをし、仲人の進行によって結納の義を執り行います。

場所が異なるだけで、内容自体は正式結納と変わりません。

仲人を立てない場合は、男性側の父親を進行役にして結納の義を執り行う形式が主流です。

内容自体は仲人ありの略式結納とほぼ変わりません。

2. 結納は何のために行うの?

結納の目的は、簡単に言うと「結婚の約束を公にし、両家が親族になることを固く約束すること」だといえます。

結婚する本人同士が結婚の約束をするよりもさらに重みが増し、家族揃って結婚に向けて動き出すための始まりの儀式だともいえますね。

結納の起源

そもそも結納はどのようにして始まったのでしょうか?

結納の起源は、今から約1600年前に遡るといわれています。

時は仁徳天皇の時代、仁徳天皇の皇太子が妃を迎えることになり、女性の家に贈り物をした「納采」という儀式を行ったことが結納の始まりだとされています。

その後、貴族や武家の間に結納の儀式が広まり、江戸時代には商家などの富裕層にも拡大しました。

庶民にも結納の儀式が浸透したのは明治時代頃だといわれています。

結納品ってどんなもの?

実際に結納を行う際、どんなものを贈り合うのか気になりますよね?

ここでは、結納品として代表的なものをご紹介します。

熨斗(のし)

「のしあわび」ともいいます。

あわびは古来より貴重な食材で、不老長寿の象徴でもあります。

寿恵廣(すえひろ)

対になった白い扇子です。

子孫繁栄を願って贈られます。

寿留女(するめ)

するめいかの干物です。

日持ちが良さから「いつまでも幸せな家庭を築く」や、噛むほどに味が出ることから「長く連れ添い味のある夫婦になるように」という願いが込められています。

子生婦(こんぶ)

強い生命力と繁殖力を持つ昆布にあやかり、子宝に恵まれ子孫繁栄を願う意味で贈られます。

勝男武士(かつおぶし)

強くたくましい男性の象徴として、鰹節が贈られます。

鰹節は古来より武家に常備されていた保存食で、出陣の際に武運を祈って贈られる食材でした。

これにあやかり、結納品として贈られます。

結美和(ゆびわ)

婚約指輪です。

縁起の良い字をあてることで、お祝いの意が込められています。

結納金はいくらが相場?

結納金は「小袖料」とも呼ばれます。

古くは着物の小袖を贈っていた名残で、「小袖料」という呼ばれ方をします。

3. 結納は必ずするもの?

結納は必ずしなくてはいけないものなのでしょうか?

最近では結婚式そのものをしないカップルも増えており、結納も省略する場合が多くなっています。

本人同士や両家が気にしないようであれば、省略しても問題ありません。

ただし、結納を執り行うことによって周囲にきちんとした印象を与えたり、より結婚への意識が高まるという効果もあります。

4. 結納と結婚挨拶や両家顔合わせの違い

ここでは、結納と結婚挨拶、両家顔合わせがどう違うのかをご紹介します。

結納と結婚挨拶の違い

結婚挨拶は、両親および親族に結婚の了承をもらうことを指します。

文字通り、「結婚させてください」と挨拶に伺うものです。

一般的には、最初に男性が女性の両親に挨拶し、その後女性が男性側に挨拶に行くという流れとなります。

あくまでも挨拶ですから、正式な儀式である結納よりもカジュアルな場となります。

結納と両家顔合わせの違い

両家顔合わせとは、結婚が決まった男女の家族や親族が一同に会し、食事や挨拶を行うことを指します。

通常は結婚挨拶や結納を済ませてからの両家顔合わせとなるので、流れとしては結納が先になります。

結納を省略する場合は、結婚挨拶を済ませて両家の了承を得た後、両家顔合わせとなります。

5. 結納はしない人が多いって本当?

かつては結婚をする前に必ず行うものとされてきた結納。

しかし最近では結納をする人の方が少数派となっています。

ある調査によると、結婚を決めた、あるいは既婚のカップルのうち約8割は「結納をしない」と答えています。

特に都市部では結納をしない人の割合が高いようです。

また、地域によって結納を重んじる傾向と重視しない傾向が分かれています。

国際結婚の場合

日本国内で結婚するカップルのうち、3.3%が国際結婚です。

結婚する男女のうち、どちらか一方が日本以外の国の出身であった場合、結納はどのように行うのでしょうか?

ここでは、国際結婚カップルの結納で知っておきたいポイントをご紹介します。

宗教的問題

国際結婚をする場合、宗教の問題に直面するカップルは少なくありません。

例えば結婚相手がキリスト教を信仰しているケースでは、結納という概念が存在しない可能性もあります。

キリスト教にはさまざまな宗派があり、結婚に関する考え方やしきたりも異なるので一概には言えませんが、結納についても相手とよく相談する必要があります。

文化的問題

文化風習は国によって大きく異なるので、日本式の結納が通用しないケースもあります。

例えばタイには「結納金」という風習があり、タイ人女性と結婚する男性は女性の両親にお金を渡すのが一般的です。

また、欧米出身者と結婚するとき、相手方親族が結納という儀式を知らず両家の結婚への意識に温度差を感じる、といったケースもあるようです。

6. 結納をしなくても大丈夫?

きちんと結納をしないと結婚が上手くいくか心配、という人もいるかと思います。

しかし、今やシンプル婚が主流の時代であり、結納をしなくても結婚するにあたり何ら問題はないと言っても良いでしょう。

本人同士が納得し、両親をはじめとする両家親族が異を唱えないのであれば、結納はしなくても大丈夫です。

ただし、最初から結納はしないと決めてしまわず、両家とよく相談してから結納をするかしないか決定するようにしましょう。

結納なしの場合にしておきたいこと

結納をしない場合は、両家顔合わせだけは済ませておくことをおすすめします。

結婚式前に一度、両親だけでも顔合わせしておくのがベストです。

これから親族となるわけですから、あらかじめ顔を知っておき、交流を深めておくことが大切です。

結婚後、両家が良好な関係を築けるように、和やかに過ごせる会食の場などをセッティングすると良いでしょう。