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1.プロポーズと婚約指輪
新たな人生の旅立ちを意味する結婚。
そして、生涯を共に歩みたいことを伝える、プロポーズ。
ところで、プロポーズをするときに婚約指輪を女性へ贈るのは何故なのでしょうか?
「ただ贈るだけ」ではない婚約指輪のルーツを紹介します。
2.プロポーズ前に知っておきたい、婚約指輪を贈る理由
遡ること2000年以上
ルーツは古代ローマに
婚約指輪の歴史は、遡ること紀元前1世紀の「古代ローマ」にあります。
もうすでに古代ローマに婚約指輪のルーツがあったとは、驚きですよね。
鉄製の輪
古代ローマには婚約指輪の概念はありませんでしたが、その元となる婚約の締結を証明するアイテムが存在していました。
それが鉄製の輪です。
男性が婚約を申し込む際に贈ったもので、これが婚約指輪の始まりだと言われています。
現代との違いや共通点
花婿から花嫁の家族へ
古代ローマでは女性よりも男性の地位が高かったため、現代の婚約とは考え方が大きく異なりました。
当時は、婚約は家同士の取り決めによって行われることがほとんどであったため、実際には男性側が女性側を買うという感覚に近く、鉄製の輪は女性自身に贈るのではなく、女性の家(親)に贈ることで、婚約が成立していました。
意外な共通点も
婚約指輪を受け取ると、女性は夫(になる男性)に対して貞操を守ることを誓わなければならず、女性にとっての結婚は何かと大変なものでした。
女性にとっては守らなければいけないことが多く、現代の婚約様相とは大きく異なるのも特徴です。
日本で結婚をする際は、多くの場合に当人同士が決定をします。しかし家同士の関係も重要視する点においては、日本と古代ローマには共通点がありますね。
古代ローマにおいて行われた婚約の慣習は、現代にも通用することが多く驚くばかりです。
3. そもそも婚約指輪を贈る意味とは
プロメテウスの神話
婚約指輪のルーツとなった鉄製の輪。古代ローマでなぜ、贈るようになったのでしょうか。
実はギリシャ神話に登場するプロメテウスが関係しています。
プロメテウスは神族の一人で、神に虐げられ悲惨な状況にあった人間たちに同情し、天上の火を盗み人間に与えたとして知られています。おかげで人間は火の使い方や、暗闇での明かりを手に入れたことで野獣に怯える必要がなくなったのです。
プロメテウスは他にも生きていくために必要な知恵を人間に与えました。まさに人間の恩人的存在だったのです。
ゼウスへの誓い
しかし火や知恵を手に入れ、豊かになったことで争いが生まれます。
そのことで主神ゼウスの怒りを買い、プロメテウスは岩山で磔(はりつけ)にあいます。昼間の間は鷲に肝臓を食べられ、夜になると回復するという永遠に続く苦しみを与えられたのです。
苦しみから解放されたプロメテウスは、己を磔にしていた鎖と岩山の破片で指輪を作り、主神ゼウスに服従の誓いを立てたのです。
この神話を基に、男性が女性に忠誠を誓うものとして古代ローマでは鉄製の輪が贈られたのです。
4. 結婚とは契約であり、自分のすべてを相手にゆだねるということ
永遠を象徴する指輪
古代ギリシャと現代では男女の地位には大きな差があります。しかし男性が女性に婚約指輪を贈るというスタイルは変わらず、贈られた女性は受け取ることで婚約の申し込みを承諾しました。
贈り、受け取った瞬間から、共に伴侶の人生を背負ったことになります。
古代ローマで贈った鉄製の輪には永遠に続くという意味もあります。輪には切れ目がなく、まさに永遠を象徴するシンボルだからです。
同じく婚約指輪にも切れ目はなく、永遠に続く象徴といえるのではないでしょうか。
贈るとき、そして受け取るときに互いが永遠の誓いを立てることで婚約は成立です。
決して安易なものではなく、人生を左右するだけの決断であり決意であるのは、命を懸けて罰を受けたプロメテウスに通じるものがあるのではないでしょうか。
人生の伴侶として共に歩む
結婚は幸せばかりではなく、辛いときも苦しいときもあります。
だからこそ長い人生の苦楽を共に分かち合えることこそが、とても大切なのです。
あなたの結婚生活も、指輪のように輝かしいものであることを祈っています。